M&Aの手法
M&Aの手法(スキーム)には、株式譲渡、株式交換、合併、事業譲渡、会社分割などいくつかの手法があり、譲渡する資産、ステークホルダー等の要素を考慮し、M&A後の事業形態やM&Aを行う当事会社の資本政策等の条件によって、最も適したスキームを選択する必要があります。自社に合った手法を選択することがM&Aを成功させる上で大切となります。
M&Aスキームの概要図
企業提携
資本移動を
伴う提携
(広義のM&A)
資本移動を
伴わない提携
(業務提携)
企業買収
(狭義のM&A)
株式持合い
合弁会社設立
共同開発・
技術提携
OEM提携
販売提携
買収
合併
分割
株式取得
事業譲渡
吸収合併
新設合併
吸収分割
新設分割
株式譲渡
新株引受
株式交換
一部譲渡
全部譲渡
上図のように、資本移動を伴わない業務提携も企業提携に含まれますが、資本の移動、経営権を獲得するための取引(狭義のM&A)を伴う企業提携をM&Aと称します。
資本移動を伴わないものは、力関係の強弱があってもM&Aではなく業務提携となります。
代表的なM&Aスキームの比較
M&Aの代表的な手法として、株式取得として発行済み株式の取得(株式譲渡)と第三者割当増資(新株引受)、株式交換があり、これに合併、事業譲渡、会社分割を合わせて大きく6つに類型化されています。
M&Aの手法 | 会社の組織 | 資産負債、諸契約、 雇用継承 |
株主が受ける 対価 |
株主への課税 |
---|---|---|---|---|
株式譲渡 | 存続 | 変更なし | 現金 | 譲渡所得税 |
第三者割当増資 | 存続 | 変更なし | なし | なし |
株式交換 | 存続 | 変更なし | 相手企業の 株式 |
一定の要件を 満たせばなし |
合併 | 消滅 | 合併企業が 直接承継 |
相手企業の 株式 |
一定の要件を 満たせばなし |
事業譲渡 | 会社は残るが譲渡される 事業の運営会社が変わる |
再契約が必要 | なし | なし |
会社分割 | 新たに組織される | 分割される事業に 関わる部分を承継 |
株式・その他の 資産 |
一定の要件を 満たせばなし |